[第七話]図書館

ゴラムスは図書館を創造した。

その図書館は、壁と床と天井のそれぞれに書架が設置された立方体の部屋から構成されていた。それらの書架は、その中央に正方形の穴があり、その穴を通ることによって隣または上下の部屋へ移動することができた。

その図書館が所蔵している書物は、どれも同じ外観で、ページ数は千ページに統一されていた。そして一つの書架には千冊の書物が並べられていた。

図書館が創造された時点では、そこに保管されているどの書物も、すべてのページが白紙だった。ゴラムスは、それらの書物に文字を書き込むことのできる作家を創造した。平均的な作家は、産まれてから死亡するまでの間に、百冊の書物を文字で埋め、二人の作家を出産した。

作家たちが書物に書き込んだ文章は、その大多数が、彼女たちが想像した架空の世界を舞台とする物語だった。作家たちは、他の作家たちが書いた書物からさまざまな材料を借用した。同一の世界を舞台とする物語や同一の生物が登場する物語が、後代の作家たちによって限りなく書き続けられた。

作家たちが物語の舞台として使用した世界は、架空のものばかりではなかった。自分たちが存在している図書館を舞台とする物語も少なくなかった。一部の作家たちは、架空の物語ではなく、過去に図書館で生起した歴史的事実を書物に書き込んだ。さらに、図書館の構造や機能についての論説を記述する作家たちも存在した。しかし、それらの論説の多くは憶測の域を出ないものだった。図書館に存在する部屋の数は無限個であると断言する書物もあれば、具体的な個数を記した書物もあった。

少なからぬ書物が、図書館のどこかに存在すると噂される館長室について論じていた。ある書物は、図書館の形状は四角錐であり、その最上階が館長室であると記していた。別の書物は、館長室について次のように述べていた。「図書館はどの方向にも無限に部屋が続いており、館長室はその中に一様に分布している。それぞれの館長室の中心には玉座があり、いずれか一つの玉座を占有する者は、すべての玉座に同時に存在することを得る」

作家たちのうちには、仕事の片手間に館長室の探索に精を出す者もいた。ある者は最上階を目指して遠征し、別のある者は渦巻の軌跡を描きつつ探索の範囲を広げていった。

作家の一人であるミテシラは、最初の作家が創造された部屋が館長室ではないかと考えた。最初の作家が創造された部屋がどこなのかという伝承は、ミテシラが産まれた時点では、すでに失われて久しかった。しかし彼女は、図書館についての歴史が書かれた書物を渉猟し、最初の作家が創造された部屋の位置を解明した。

ミテシラは、最初の作家が創造された部屋を調査するための旅に出た。その長い旅が終わり、目的地で彼女が見たものは、図書館の他の部屋と同様の書架と書物だった。しかし、その部屋に足を踏み入れた瞬間から、彼女は、作家ではない別の何かに変化していた。彼女は、その部屋から一歩も外へ出ることなく、すべての書物を読むことができ、書物の位置を変更することができた。

ミテシラは、書物を系統的に分類し、その分類に基づいて書物の位置を定め、書物の目録を作る、という作業を開始した。